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by Thompsons
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早老症~プロジェリア症候群~

早老症と呼ばれる病気があります。

プロジェリア症候群はそのうちのひとつです。アシュリーちゃんの話で有名ですよね。800万人に1人の病におかされながら、「笑顔でいるとみんながハッピーになるから、人前では悲しい顔はしたくない。」という言葉にはとても心をうたれました。

プロジェリア症候群の患者さんの寿命は平均13歳くらいなんだそうですが、アシュリーちゃんは17歳まで生存されたそうです。きっと、いつも笑顔でいたことが体に良い影響をもたらしたのではないでしょうか?

この病気は産まれてまもなく発症し、脱毛や動脈硬化、骨粗鬆症そして白内障など更年期・老年期に発症する老化現象が10歳になる前に現れてしまいます。また、老化とは別に低身長・低体重の症状も合わせて呈します。プロジェリア症候群の患者さんの1年は健常者の10年に相当するといわれています。かといって、脳の発達の時間軸は普通と変わりませんから、当然ながら外見と内面のギャップがとても大きくなります。

2003年にこの病気の原因遺伝子が明らかにされました。その遺伝子はラミンAと呼ばれる細胞内の核膜の構成タンパク質の遺伝情報をもっています。つまり、プロジェリア症候群の患者さんはこのラミンAタンパク質を生産することができないのです。

なぜ、ラミンAタンパク質が生産されないと老化が促進されるのか・・・?その理由はまだよくわかっていませんが、最近の研究では間葉系の幹細胞(骨や心筋などに由来する細胞)の正常な分化にラミンAが必要であるという報告がありました。

原因遺伝子がわかっているなら、薬の開発が可能です。今後の研究に期待です。

この病気の原因遺伝子が同定される前、多くの研究者や医療関係者はプロジェリアの原因はテロメアにあると考えていたそうです。しかし、実際は核膜の裏打ちタンパク質でした。ラミンAとテロメアの因果関係はまだ詳しくはわかっていませんが、おそらく無関係です。これにより、老化研究の課題はまたひとつ大きな課題を抱えたことになりました。
by Thompsons | 2010-02-16 10:38 | 寿命・老化