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日常的な出来事やScienceの分野で興味をもったことについていろいろ書いています♪コメントやメール待ってます(^o^)thompsons@excite.co.jp


by Thompsons
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抗体の多様性

免疫の話は本当は先週末で終わる予定だったのですが、今週まで続けます!

T細胞受容体の多様性は300万通りくらいあると以前紹介しましたが、B細胞受容体そして抗体はその数を遙かにしのぐほどの多様性をもっています。

どれくらいの多様性があるか少し計算してみましょう・・・。

昨日、重鎖と軽鎖には可変領域(V領域)と定常領域(C領域)があることをお話ししました。では、なぜそう呼ばれるのか?ということですが、、、

それは定常領域を決定しているのは単一のDNA領域ですが、V領域は複数のDNA領域から組み立てているからです。

簡潔に言うと、C領域とV領域はそもそも遠く離れた領域にその情報がコードされているのですが、造血幹細胞からB細胞へと分化する過程において、遠く離れたV鎖がC鎖の近くに配置されるように遺伝子構造が編集されます。

このことを証明したのが1987年にノーベル生理学・医学賞を受賞した利根川進先生です。

より正確に言うと、H鎖のV領域はV断片(51個)、J断片(6個)、D断片(27個)の任意の組み合わせから構成されています。つまり、8262種類のH鎖V領域が理論上形成されることになります。

さらに、L鎖のV領域は316種類あることから、316×8262=2600000通りの組み合わせが考えられます。

B細胞の多様化はまだ続きます。

細胞は分裂する時に遺伝情報が複製しますよね。そして、出来るだけもとの遺伝情報を正確に写し取るように細胞は涙ぐましい努力をしています(そういう機構がたくさんあります)。1回の細胞複製で生じる塩基配列の複製ミスは数塩基程度です。

ところが、抗原結合部位であるH鎖とL鎖のV領域はビックリすることに、その変異率(ある意味、複製ミス)が他の遺伝子領域より100万倍も高いのです!!!

細胞が分裂するたびに点変異が生じ、その遺伝情報によってコードされているアミノ酸配列は変化します(非同義座位に変異が入れば)。V領域のアミノ酸配列に変異が生じれば、当然、抗原に対する特異性や親和性は変化します(この機構はT細胞受容体(TCR)には存在しません)。

つまり、V鎖には300万通りの組み合わせがあり、さらに、それらは体細胞変異により多様性を獲得しているということです。

その多様性を数字にすると、、、ん?どうやって計算すればいいんだろう??

・・・・とにかく、いっぱいです!!

抗体の多様性はいっぱいです(^_^;)
by Thompsons | 2011-02-07 10:21 | 免疫